SSD の SLC タイプと MLC タイプの違い
1つの記憶素子に対するデータ記録の仕方に違いあり
SSD には、SLC(Single Level Cell)タイプと MLC(Multi Level Cell)タイプがあります。
SSD にはデータを記録するために使用する記憶素子が大量にあり、SLC タイプでは1つの記憶素子に1ビットのデータを記録できます。MLC タイプでは1つの記憶素子に2ビット以上のデータを記録できます。
簡単に言えば、記憶素子では電荷を蓄えてデータを記録しますが、SLC タイプでは電荷量が多い、少ないで1ビットのデータを記録します。例えば、0を記録するなら電荷量が多くし、1を記録するなら電荷量を少なくし、記憶素子に蓄えられている電荷量で0か1かが分かるようにデータを記録します。
SLC タイプ
記憶素子 |
記録データ |
電荷量多い |
0 |
電荷量少ない |
1 |
MLC タイプでは、電荷量の多さを判定する閾値をさらに細かくし、例えば1つの記憶素子に2ビットのデータを記録できる MLC タイプでは、00を記録するなら電荷量を多くし、01を記録するなら電荷量をやや多く、10を記録するなら電荷量をやや少なく、11を記録するなら電荷量を少なくし、記憶素子に蓄えられている電荷量で00か01か10か11かが分かるようにデータを記録します。
MLC タイプ(1つの記憶素子あたり2ビット記録可能な場合)
記憶素子 |
記録データ |
電荷量多い |
00 |
電荷量やや多い |
01 |
電荷量やや少ない |
10 |
電荷量少ない |
11 |
データの記録の仕方の違いから生じる様々な違い
データ記録の仕方の違いから、SLC タイプと MLC タイプには様々な違いが出てきます。その違いについて一つずつ記載していきます。
容量と価格
SLC タイプよりも MLC タイプの方が、1つの記憶素子あたりに記録できるデータ量が大きいため、MLC タイプの方が容量を大きくしやすく、容量あたりの価格を低くしやすいです。
そのため、SLC タイプは容量を大きくしづらく、容量あたりの価格が高いです。
データ書き込み速度
MLC タイプは、SLC タイプよりも電荷量の調整が複雑になるため、データ記録にかかる時間が長く、データ書き込み速度が遅いです。SLC タイプは、MLC タイプよりも簡単な処理で済むため、データ記録にかかる時間が短く、データ書き込み速度が速いです。
データ読み込み速度に関しては、両者はほぼ同じです。厳密には MLC タイプの方がデータ読み出しにかかる時間が長くなりますが、データ読み込み速度に大きな差は出ません。
劣化と寿命
記憶素子は、データの記録を繰り返していくと劣化が進み、データ記録時の電荷量が正常な電荷量とはずれていき、いずれは寿命を迎えて正常にデータを記録できなくなります。
SLC タイプでは、単に電荷量が多いか少ないかでデータを記録しますので、多少の電荷量の違いは問題にならず、劣化に強いです。MLC タイプでは、電荷量の多さを判定する閾値が細かいので、SLC タイプよりも電荷量の違いが問題になりやすく、劣化に弱いです。
そのため、同程度の書き込み回数が発生し続けるという条件で比較すれば、SLC タイプの方が寿命が長く、MLC タイプの方が寿命が短いです。
データの保持時間
記憶素子に蓄えられた電荷は、時間経過していくと段々逃げていきます。つまり、データ記録時から何もされなくても電荷量が変わっていきます。MLC タイプは、SLC タイプよりも電荷量の違いが問題になりやすいため、データを保持し続けられる時間が短いです。
SLC タイプと MLC タイプの違い一覧
以下は、SLC タイプと MLC のタイプの違いをまとめた表です。
SLC タイプ |
MLC タイプ |
・容量を大きくしにくい
・容量あたりの価格が高い
・データ書き込み速度が速い
・劣化に強く寿命が長い
・データの保持時間が長い |
・容量を大きくしやすい
・容量あたりの価格が低い
・データ書き込み速度が遅い
・劣化に弱く寿命が短い
・データの保持時間が短い |
上記は、あくまで SLC タイプと MLC のタイプのデータ記録の仕方から生じる違いであって、実際の SSD 製品に同様な違いが出るとは限りません。
特に MLC タイプは容量を大きくしやすく、容量あたりの価格が安いというメリットが大きいため、MLC タイプの SSD が普及しており、データ書き込み速度が遅い、劣化に弱く寿命が短い、データの保持時間が短いといったデメリットがありますが、技術進歩によって大きく改善が進んでおり、新しい MLC タイプの SSD 製品であれば、これらのデメリットは気にする必要はないくらいです。
MLC レベルの一つ TLC レベル
SSD には、TLC(Triple Level Cell)タイプと呼ばれる製品もあります。TLC タイプでは、1つの記憶素子に3ビットのデータを記録でき、MLC タイプの一つとなります。
TLC タイプでは、1つの記憶素子に 000, 001, 010, 011, 100, 101, 110, 111 のどれかを電荷量の違いで分かるように記録できます。
TLC タイプは、1つの記憶素子あたり2ビット記録可能な MLC タイプよりも、さらに容量を大きくしやすく、容量あたりの価格を低くでき、メリットがより大きくなりますが、データの書き込み速度が遅い、劣化に弱く寿命が短い、データの保持時間が短いといったデメリットもより大きくなります。
TLC タイプの SSD が登場するまでは、MLC タイプの SSD は1つの記憶素子に2ビットのデータを記録できる製品しかありませんでしたので、2ビットか3ビットかの違いで MLC タイプと TLC タイプが区別して使われる場合があります。
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2023/09/07 更新