なぜ全ての出力端子から出力できないビデオカードがあるのか

クロックジェネレーターの制約

たいていのビデオカードには、複数の出力端子があります。全ての出力端子から出力できるビデオカードもありますが、例えば3つの出力端子中2つの出力端子から出力可能というようなビデオカードもあります。

全ての出力端子から出力できない理由はビデオカードによって異なりますが、たいていはクロックジェネレーター(クロックソース)にあります。クロックジェネレーターは、出力端子から出力される必要があるタイミングソースを生成します。

どのインターフェース規格もタイミングソースを必要としますが、インターフェース規格の違いによって必要なタイミングソースの条件が異なり、関連して必要なクロックジェネレーターの条件も異なります。

以下は、出力端子のインターフェース規格と、必要なタイミングソース、クロックジェネレーターに関する条件をまとめた表です。

規格 タイミングソース クロックジェネレーター
D-sub 15pin
(アナログ RGB、VGA)
個別のタイミングソースが必要 個別のクロックジェネレーターが必要
DVI-D
(DVI24pin)
個別のタイミングソースが必要 個別のクロックジェネレーターが必要
DVI-I
(DVI29pin)
個別のタイミングソースが必要 個別のクロックジェネレーターが必要
HDMI 個別のタイミングソースが必要 個別のクロックジェネレーターが必要
DisplayPort 個別のタイミングソースは不要で、複数の DisplayPort から出力する場合でも1つのタイミングソースがあれば良い クロックジェネレーターは必要なく、リファレンスクロックから生成したタイミングソースを使う

個別のタイミングソース(クロックジェネレーター)が必要という事は、複数の出力端子から出力するなら、出力する数の分だけタイミングソース(クロックジェネレーター)が必要という事です。

DisplayPort は他とは違っており、複数の出力端子から出力する場合でも、タイミングソースは1つあれば十分です。また、DisplayPort のタイミングソースの生成にクロックジェネレーターは必要なく、クロックジェネレーターのリファレンスとして使われているリファレンスクロックからのタイミングソースがあれば出力できます。

DisplayPort の登場で、3つ以上の出力が実現しやすくなった

上記を考慮すると、DisplayPort を除く各インターフェース規格の出力端子が複数あっても、出力端子の数の分だけクロックジェネレーターが無いと、全ての出力端子から出力できません。

DisplayPort が登場する前から、2つより大きい数の出力端子搭載ビデオカードが見られましたが、たいていはクロックジェネレーターが2つであり、最大2つの出力端子まで出力可能なビデオカードが多かったです。

その理由は、クロックジェネレーターを多くするほどコストが高くなり、2つの出力を必要とするユーザーは結構多くても、3つ以上の出力を必要とするユーザーが多いとは言えないため、クロックジェネレーターが2つのビデオカードが多かったと思われます。

例として、D-sub 15pin×1、DVI-D×1、HDMI×1 出力端子搭載ビデオカードで、クロックジェネレーターが2つであれば、これら3つの中から2つまで出力が可能となります。

その後、クロックジェネレーターに関する制約が緩和された DisplayPort が登場してからは、DisplayPort 出力端子を搭載して、3つ以上の出力が可能なビデオカードが増えました。

例えば、D-sub 15pin×1、DVI-D×1、HDMI×1、DisplayPort×1 出力端子搭載ビデオカードで、クロックジェネレーターが2つであれば、DisplayPort 出力端子を使用しないと最大2つまでの出力となりますが、DisplayPort 出力端子を使用する事で最大3つまでの出力が可能となります。

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2023/09/07 更新