ドットピッチとは
ドットピッチとは、1インチ当たりのドット数を表します。単位は dpi(dot per inch)が使われ、100dpi であれば1インチ当たり100個のドット数が存在します。液晶ディスプレイ関連の話題で、ドットピッチが大きくなると目が疲れやすいという話を聞いた事がある方はいるかと思います。その理由ですが、まず OS の Windows と液晶ディスプレイのドットピッチに関する仕様の変化で整理して見る方が良いです。
Windows が、文字等の表示サイズを調整できなかった頃
まず昔の Windows では、ドットピッチ 96dpi の液晶ディスプレイを使用する事を想定して、文字等の表示サイズが決められていました。つまり、ドットピッチ 96dpi の液晶ディスプレイを使用すれば、Windows が想定した通りの表示サイズとなり、使用する液晶ディスプレイのドットピッチが変われば、文字等の表示サイズも変わる事になります。昔は、ドットピッチ 96dpi くらいの液晶ディスプレイが主流でしたので、特に問題はありませんでしたが、ドットピッチ 96dpi を大きく超える液晶ディスプレイが普及し始め、そのような液晶ディスプレイを使うと文字等の表示サイズが小さくなってしまう問題が出始めました。
なぜ文字等の表示サイズが小さくなるかというと、ドットピッチが大きくなれば、1インチ当たりのドット数が増え、増えた分のドットを詰めるためにドットサイズが小さくなり、各ドットが集まって表示される文字等も小さくなるからです。
例えば、1文字が縦横10ドットを使って表示されるなら、ドットピッチが大きくなりドットサイズが小さくなれば、文字の表示サイズも小さくなります。
文字等の表示サイズが見づらくなるほど小さくなれば、目は細かい文字等を見続けていると疲れやすくなります。また、目を画面に近づければ、文字等の表示サイズは大きく見えるようにはなりますが、目と画面の距離が短いと疲れやすいです。
Windows が、文字等の表示サイズを調整できるようになった頃
その後、Windows ではドットピッチが大きい液晶ディスプレイにも対応するようになり、文字等の表示サイズを調整できるようになりました。本格的に対応し始めたのは、Windows Vista からです。Windows Vista より前の Windows XP 等でも、ドットピッチが大きい液晶ディスプレイでも見やすいよう文字の表示サイズは大きくできましたが、アイコンやボタン等の表示サイズは大きくならず、その結果文字の表示サイズを大きくすると、他のアイコンやボタン等とのバランスが悪くなりました。また、文字だけ大きくなっても、アイコンやボタン等が小さいままでは、目が疲れやすい問題は完全には解決できません。
Windows Vista からは、文字に限らずアイコンやボタン等の表示サイズも大きくできるようになりました。しかし、Windows 上で動作するソフトウェア上の文字等の表示サイズも大きくなるとは限りません。
ソフトウェアによっては、Windows の設定で文字等の表示サイズを大きくしても、ソフトウェア上の文字等の表示サイズは変わりません。そのようなソフトウェアを、ドットピッチが大きい液晶ディスプレイで使用し、見づらくなるほど小さくなってしまっていると目が疲れやすいです。
他に、ソフトウェア上の文字等の表示サイズが大きくなっても、ぼやけてしまって見づらくなってしまうソフトウェアや、ソフトウェア上の一部の文字等の表示サイズが大きくなるだけで、レイアウトが崩れてしまい使いづらくなってしまうソフトウェアもあります。
そのようなソフトウェアのために、ドットピッチが大きい液晶ディスプレイで文字等の表示サイズを大きくせずに使い、見づらくなるほど小さくなってしまえば、目が疲れやすいです。