sRGB より Adobe RGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良いのか

色域が広い Adobe RGB を選ぶ方が良いとは限らない

液晶モニターは、製品によって再現できる色の範囲が異なります。液晶モニターが再現できる色の範囲は、色域と呼ばれます。

色域には、幾つかの規格が存在し、2009年3月1日時点では主に sRGB と Adobe RGB が見られます。

sRGB よりも Adobe RGB の方が色域が広いですので、Adobe RGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良さそうですが、そうとは限らず、使用用途によっては sRGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良いです。

sRGB と Adobe RGB の両者に対応した液晶モニターもあります。このような液晶モニターを選ぶ場合は、使用用途に合わせて sRGB と Adobe RGB どちらの色域で表示するのか設定すれば済みます。

以下では、幾つかの使用用途を例に挙げて、sRGB と Adobe RGB どちらに対応した液晶モニターを選ぶ方が良いのか、判断の仕方について記載しています。もし、両者の対応が必要だったり、迷ったりしたら sRGB と Adobe RGB の両者に対応した液晶モニターを選ぶのがおすすめです。

使用用途を考慮した色域の選び方

インターネットを利用する場合

パソコンと液晶モニターを接続し、たいていの人はインターネットを利用するでしょうが、その場合は sRGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良いです。多くの人が sRGB 対応の液晶モニターを使っていますので、インターネットコンテンツを作る側は、sRGB 対応の液晶モニターで見る事を前提にして、インターネットコンテンツを作っています。

そのように作られたインターネットコンテンツを Adobe RGB 対応の液晶モニターで見ると、作った側が意図した通りの色で表示されません。

単純な色で表現されているインターネットコンテンツであれば大した影響はありませんが、特に風景等の画像では彩度が高くなりすぎる、すなわち色が鮮やかになりすぎてしまい、不自然に見えてしまいます。

動画コンテンツの視聴に使用する場合

テレビ番組や DVD 映画等の動画コンテンツの視聴に使用する場合は、sRGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良いです。これらの動画コンテンツは、ITU-R BT.709 と呼ばれる放送規格に沿った色域で作られており、sRGB とほぼ同じ色域です。

そのため、これらの動画コンテンツは sRGB 対応の液晶モニターで見る事を前提にして作られていると見なしても良く、これらの動画コンテンツを Adobe RGB 対応の液晶モニターで見ると彩度が高くなりすぎてしまいます。

デジタルカメラで撮影した画像を閲覧、編集する場合

デジタルカメラで撮影した画像を閲覧、編集するのであれば、デジタルカメラで撮影する際は sRGB と Adobe RGB どちらに設定して撮影するのか考慮して選ぶ必要があります。

sRGB に設定して撮影するなら sRGB 対応の液晶モニター、Adobe RGB に設定して撮影するなら Adobe RGB 対応の液晶モニターを選ぶ方が良いです。

sRGB で撮影した画像を Adobe RGB 対応の液晶モニターで見ると彩度が高くなりすぎますし、逆に Adobe RGB で撮影した画像を sRGB 対応の液晶モニターで見ると彩度が低くなりすぎてしまいます。

特に色の見え方を重視して画像編集を行うなら、撮影時に設定する色域と合わせて液晶モニターを選ぶ方が良いです。また、撮影時の色域と、画像編集を行う際の色域が異なるなら、sRGB と Adobe RGB の両者に対応した液晶モニターを選ぶ方が良いです。

例えば、Adobe RGB に設定して撮影し、画像をインターネット等に公開するために、sRGB 対応の液晶モニターで見られる事を前提に画像編集を行うなら、sRGB と Adobe RGB の両者に対応した液晶モニターを選ぶ方が良いです。

まとめ

あらゆる使用用途を挙げて、sRGB と Adobe RGB どちらに対応した液晶モニターを選ぶ方が良いのか記載するのは難しいですが、まとめると動画や画像コンテンツ等を作った側が想定した色の見え方とは多少異なっても気にしないのであれば、色域についてこだわって選ぶ必要性は低く、sRGB と Adobe RGB どちらを選んでも特に問題はありません。そうでなければ、色域にこだわり、sRGB と Adobe RGB どちらを選ぶ方が良いのか適切に判断して選ぶ方が良いです。

動画や画像コンテンツ等を、色の見え方を重視して編集して作るなら、液晶モニターが対応している色域についてこだわって選ぶ必要性は高く、自分にとって適切な方を選ぶ必要があります。

液晶モニターを選ぶ時点では、sRGB と Adobe RGB どちらが必要になるか明確であっても、将来を見越して両者が必要になる可能性を考慮して、sRGB と Adobe RGB の両者に対応した液晶モニターを選ぶのもおすすめです。

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2023/09/07 更新