GeForce TITAN シリーズはゲーム用途に適しているのか

価格の割りにはグラフィックス性能が高くない

2013年に、nVIDIA 社から GeForce TITAN シリーズ初のビデオチップ製品となる GeForce GTX TITAN が発売されました。その後、2014年に GeForce GTX TITAN Black、GeForce GTX TITAN Z が発売されました。

これら GeForce TITAN シリーズは、ゲーム用途に向いたビデオチップ製品として発売されましたが、GeForce GTX TITAN と GeForce GTX TITAN Black は価格が約15万円、GeForce GTX TITAN Z は価格が約40万円であり、他の GeForce のビデオチップ製品と比べると、かなり価格が高いです。

価格が高くても、それに見合う価値があれば良いです。GeForce GTX TITAN 発売時では、ゲームにおけるグラフィックス性能の高さは、シングル GPU のビデオチップ製品の中で GeForce GTX TITAN が最も優れていました。

しかし、GeForce GTX TITAN 発売時 では、2番手の評価となった GeForce GTX 680 の価格は約6万円であり、GeForce GTX TITAN のグラフィックス性能の高さは、GeForce GTX 680 の約1.5倍程度であり、得られるグラフィックス性能の割りには価格が高すぎる印象は否めません。

その後、発売された GeForce GTX TITAN Black は、GeForce GTX TITAN よりもグラフィックス性能が少し高くなりましたが、価格が約8万円の GeForce GTX 780 Ti も発売され、GeForce GTX 780 Ti は GeForce GTX TITAN や GeForce GTX TITAN Black よりもグラフィックス性能が高い結果となりました。

GeForce GTX TITAN Z はデュアル GPU ですので、シングル GPU の GeForce GTX 780 Ti よりグラフィックス性能が高いですが、GeForce GTX 780 Ti を、SLI 技術を利用して2つ使用すれば、GeForce GTX TITAN Z と同等な性能になり、約16万円(約8万円×2)と圧倒的に安く済みます。

これでは費用対効果が小さく、GeForce TITAN シリーズはゲーム用途に適しているのか疑問です。

GPU コンピューティングに適したビデオチップ製品と見れば価格は安い

GeForce TITAN シリーズがぼったくり価格かというと、そうでもありません。GeForce TITAN シリーズは、GPU コンピューティングに適した TESLA と呼ばれる業務用ビデオチップ製品を、幾つかの仕様を変更して民生用ビデオチップ製品にしたものであり、GPU コンピューティングに強いという特長は変わらずに持っています。また、TESLA の価格よりも大幅に安くなっています。

そのため、GPU コンピューティング用途に適したビデオチップ製品と見れば、GeForce TITAN シリーズの価格は安いと捉える事ができます。

GPU コンピューティング用途に適しているビデオチップ製品の条件として、倍精度浮動小数点演算性能の高さがあります。TESLA も GeForce TITAN シリーズも倍精度浮動小数点演算性能の高さに優れており、GeForce TITAN シリーズ以外の GeForce のビデオチップ製品は、倍精度浮動小数点演算性能が低いです。

一方、単精度浮動小数点演算性能の高さに関しては、それほど差はありません。ゲームでは主に単精度浮動小数点を使っており、これがグラフィックス性能に大差は出ない理由です。

もし、ゲームでも倍精度浮動小数点を使うようになれば、GeForce TITAN シリーズの方が圧倒的にグラフィックス性能が高い評価となるでしょう。

しかし、2014年時点では、ゲームで倍精度浮動小数点を使用して何か進化を起こすような事は難しく、単精度浮動小数点が主に使われ続けられていますので、ゲームにおいて GeForce TITAN シリーズが圧倒的なグラフィックス性能を発揮するのは、当分来なさそうです。

ゲーム用途に適しているが、ゲーム用途のためだけに買うと費用対効果が悪い

GeForce TITAN シリーズを、安価な GPU コンピューティング用途向けのビデオチップ製品として発売した方が相応しいと思われます。この方が妥当だとして、GeForce TITAN シリーズを、ゲーム用途に適したビデオチップ製品として発売したのは、nVIDIA 側に何らかの事情があったのかもしれません。

考えられるのは、GeForce TITAN シリーズは GPU コンピューティング用途に適したビデオチップ製品であり、ゲーム用途にも適したビデオチップ製品のため、ゲーム用途に適したビデオチップ製品とした方が、ユーザーの関心を引きやすいためです。

GPU コンピューティングは、科学技術、金融工学、医療等の分野では既に活用されていますが、ゲームも含め一般的なパソコンでの活用はあまり進んでいません。

GPU コンピューティング用途に適したビデオチップ製品だと言われても、多くのユーザーはどのような場面で性能を発揮するのか分からず、実際に GPU コンピューティングを活用する場面は、なかなか無いと思われます。

どのような事情があるかは分かりませんが、少なくとも GeForce TITAN シリーズは、ゲーム用途にも GPU コンピューティング用途にも適したビデオチップ製品だと認識しておくのが妥当です。

GeForce TITAN シリーズは、確かにゲーム用途に適したビデオチップ製品ですが、現状はゲーム用途のためだけに GeForce TITAN シリーズを購入すると、費用対効果が悪いです。

GeForce TITAN シリーズを、ゲーム用途の他に GPU コンピューティング用途にも使うために選ぶのであれば、費用対効果は十分あります。

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2023/09/07 更新