GPU コンピューティングで GeForce TITAN があれば TESLA は不要か

nVIDIA 社の TESLA シリーズは、科学技術、金融工学、医療等の分野における GPU コンピューティングに適したビデオチップです。TESLA シリーズは、業務用に提供しており、民生用に提供するために登場したのが GeForce TITAN シリーズです。

GeForce TITAN シリーズが初登場してから、主に PC ゲーム向けとして発売されてきましたが、TESLA シリーズと同様に GPU コンピューティングにも適したビデオチップです。

GeForce TITAN シリーズは、民生用の GPU コンピューティング向けとして発売されたとしても違和感はないほど、GPU コンピューティングで高い性能を発揮します。

TESLA シリーズは GPU コンピューティングだけでなく PC ゲームでも高い性能を発揮しますので、PC ゲームでも使ってもらおうと GeForce TITAN シリーズとして発売したと思われます。

TESLA シリーズの価格は高く、名称を変えただけで GeForce TITAN シリーズとして発売しては、価格が高いままで購入しづらいです。

業務用と民生用では求められるものが違い、GeForce TITAN シリーズでは業務用に求められ民生用では求められない機能等が削られており、両者には幾つかの違いがあります。

GeForce TITAN シリーズが TESLA シリーズよりも優れている点は、映像出力端子があるくらいですが、GPU コンピューティングでは映像出力端子は必須ではありません。

GeForce TITAN シリーズは TESLA シリーズよりも、あらゆる点で劣りますが、そのおかげで価格が安くなっています。特に問題がなければ GPU コンピューティングで GeForce TITAN があれば TESLA は不要となり、大幅にコストを抑えられます。

しかし、GPU コンピューティングでは ECC メモリーの必要性が高いです。ECC メモリーであれば、データのエラーを検出し訂正が可能となり、長時間計算を正確に行い続けるなら ECC メモリーは必須です。

ECC メモリーでなければ、計算途中で OS のクラッシュやデータの破壊が発生する可能性があります。OS がクラッシュせずに無事に計算が終わっても、計算途中でデータ破壊が発生している可能性があり、計算結果の信頼性は低いです。

信頼性の高さが求められなければ、GeForce TITAN シリーズで代用できます。

例えば、GPU コンピューティング環境を複数用意するために、それぞれに TESLA シリーズを導入すると、TESLA シリーズの価格は高いため全体的にかかるコストが膨れ上がります。

もし一部の GPU コンピューティング環境では信頼性が高い必要がなく GeForce TITAN シリーズで十分であれば、全ての GPU コンピューティング環境に TESLA シリーズを導入する必要がなくなります。

確実に正確な計算結果が得られるよう TESLA シリーズを使用している間、開発や試験段階では GeForce TITAN シリーズを使用するようにすれば、全体的にかかるコストを抑えられます。

研究機関で TESLA シリーズを使用しているが、自宅でも学習や研究のために GPU コンピューティング環境を構築したく、信頼性が高い必要がなければ、GeForce TITAN シリーズは価格が安いので構築にかかるコストを抑えられます。

ただし、ビデオチップ以外のハードウェア仕様により、GeForce TITAN シリーズと組み合わせて使うことができず、TESLA シリーズと組み合わせて使える場合は、TESLA シリーズを導入するしかありません。

または GPU コンピューティング用のソフトウェアが TESLA シリーズとは互換性を確保しているが GeForce TITAN シリーズだと互換性を確保しておらず動作に何らかの問題が発生するなら、TESLA シリーズを導入するしかありません。