GeForce と TESLA の違い

GeForce は民生用、TESLA は業務用

nVIDIA 社のビデオチップには、GeForce(ジーフォース)というシリーズ名が付いた製品がありますが、他に TESLA(テスラ)というシリーズ名が付いた製品もあります。

GeForce は民生用に提供している製品であり、TESLA は業務用に提供している製品です。民生用と業務用では、それぞれの使用用途でビデオチップに求められる性能や機能等が異なり、GeForce と TESLA は、各使用用途に向いた仕様となっています。

使用用途について具体的に書くと、GeForce は PC ゲームや動画、画像処理等のグラフィックス用途に適した製品であり、TESLA は科学技術、金融工学、医療等の分野における GPU コンピューティングに適した製品です。

以下は、GeForce と TESLA の主な違いです。

倍精度浮動小数点演算性能

グラフィックスでは、倍精度浮動小数点は扱わず、単精度浮動小数点を扱います。グラフィックスでも倍精度浮動小数点を扱う事がありますが、一般的なグラフィックス処理では倍精度浮動小数点は使われません。

GPU コンピューティングでは、単精度浮動小数点、倍精度浮動小数点を扱います。

そのため、GeForce は単精度浮動小数点演算性能に特化しており、倍精度浮動小数点演算性能は低いです。

TESLA は単精度浮動小数点演算性能、倍精度浮動小数点演算性能どちらも高いです。

ビデオメモリー容量

グラフィックスでもビデオメモリー容量は重要ですが、GPU コンピューティングでは、大規模な計算が行わせるために必要なビデオメモリー容量が大きいです。

そのため、TESLA はビデオメモリー容量が不足せずに高速に大規模な計算ができるようビデオメモリー容量が大きいです。TESLA は、グラフィックス(ビデオ)ではなく、GPU コンピューティングに使われるため、ビデオメモリーではなくオンボードメモリー、専用メモリー等と呼ばれる事が多いです。

ECC

ビデオメモリーには、ECC 対応メモリーと ECC 非対応メモリーがあります。ECC に対応していれば、データのエラーを検出し訂正が可能ですが、コストが上がり性能の低下につながります。

ビデオメモリーでデータのエラーが発生すると、OS のクラッシュやデータの破壊を引き起こす恐れがありますが、ビデオメモリーでデータエラーが発生する確率は非常に低いです。

OS やソフトウェアの不具合でもクラッシュする事を考慮すれば、データのエラーによるクラッシュを無くす必要性は低いですし、クラッシュに加えて誤操作や故障によるデータ破壊の可能性も考えると、ECC メモリーに頼らず定期的なバックアップの方が重要です。

そのため、グラフィックスに限らず一般的な使用用途では、コスト上昇と性能低下という代償を払ってまで ECC メモリーを使う必要性は低いですので、GeForce では ECC 非対応のビデオメモリーを使用します。

GPU コンピューティングでは、OS のクラッシュやデータ破壊が起きないようデータエラーの発生は許されない厳しい要求があります。長時間の計算でもデータエラーが発生してストップしてしまうような事が起きる事がなく、正確な計算結果を得られるよう TESLA が使用するビデオメモリーは ECC に対応しています。

画面出力機能

グラフィックスでは画面出力機能は必須ですが、GPU コンピューティングでは必須ではありません。

そのため、GeForce には画面出力機能が必ずあります。TESLA には基本的に画面出力機能はありませんが、TESLA でも製品によっては画面出力機能があります。

品質

品質を高めるためには厳しい検査が必要です。検査にコストをかけて品質を高める事は重要ですが、ユーザーにとって求める品質の高さは異なります。

グラフィックスでは、品質の高さも重要ですが、価格の安さも重要です。そのため、GeForce では、ある程度の品質の高さがあれば良しとし、もし不良品が発生したら交換とするスタンスです。

GPU コンピューティングでは、不良品が発生したら業務に大きな支障をきたしますので、品質の高さが何よりも重要です。そのため、TESLA は GeForce よりも厳しい検査が行われ、高い品質を保証しています。

コアクロック、メモリークロックのマージン

ビデオチップのコアクロックとビデオメモリーのメモリークロックは、ある程度マージンを持たせてあります。つまり、実際はもっと高いコアクロックやメモリークロックで正常動作が可能ですが、温度が高くなると正常動作可能なコアクロックやメモリークロックが低くなるため、温度環境が悪くても安定動作するようマージンを持たせてあります。

GeForce にも TESLA にもコアクロックやメモリークロックにマージンがありますが、信頼性を高めるために温度環境が悪くても安定動作するよう TESLA の方がマージンが大きいです。

また、TESLA は多くの製品をサーバーに集約して使われる事が多く、発熱量や消費電力が問題になりやすいです。そのため、コアクロックとメモリークロックを高くして単独の TESLA の性能を無理に高めるよりは、コアクロックとメモリークロックを低くして性能を落とし、発熱量と消費電力を低くする方が適切という考え方があります。(クロックを高くするためには電圧を上げる必要があり、それに伴い発熱量と消費電力が高くなります。)

サポート

TESLA は、業務用で使われるため手厚いサポートが付きます。GeForce よりも長い保証や製品ライフサイクル、バグや機能追加要望に対するレベルの高い対応等、TESLA では GeForce よりも充実したサポートが付きます。

ISV 認証

GPU コンピューティングに使われるソフトウェアを提供するソフトウェアメーカーは、TESLA で動作確認を行い、問題が無ければ認証します。GeForce では認証していません。

つまり、GPU コンピューティング用のソフトウェアの互換性を確保しているのは TESLA であり、GeForce では互換性を確保していません。

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2023/09/07 更新