ノートパソコンの3年間の故障率が 25% という調査結果は妥当か

SquareTrade 社の調査結果

パソコンを選ぶ際は、メーカーの故障率が気になるところです。できれば、故障率が低いメーカーのパソコンを購入したいものです。

しかし、パソコンの故障率を積極的に公表しているメーカーは無く、また故障率について調べたデータは非常に少ないです。

その数少ないデータの中に、SquareTrade 社が調査したデータがあります。恐らく、パソコンの故障率について、インターネットで調べた経験がある方なら、見た事があると思います。

<表>ノートPC故障率、メーカー別TOP9発表―米企業最新調査:レコードチャイナにて、簡易に調査結果が記載されており、購入してから3年以内のノートパソコンの故障率を高い順に並べると、以下のようになります。

順位 メーカー 故障率
1位 ヒューレット・パッカード 25.6%
2位 ゲートウェイ 23.5%
3位 エイサー 23.3%
4位 レノボ 21.5%
5位 デル 18.3%
6位 アップル 17.4%
7位 ソニー 16.8%
8位 東芝 15.7%
9位 アスース 15.6%

調査に関する情報不足

SquareTrade 社の調査結果を見て、各メーカーの故障率は、かなり高いと感じた方は少なくないと思います。しかし、個人では上記のような統計データを出せるほどのパソコン台数を使う事は難しく、故障率が妥当かどうか判断がしにくいため、パソコンの故障率は結構高いと納得できる部分はあると思います。

一方で、企業で社内パソコンを管理する等、大量のパソコンを扱った経験がある方は、自身が体感する故障率と大体一致する方は結構いるかもしれません。

調査対象について詳しく見れば、データの妥当性について何か分かるかもしれませんが、SquareTrade 社が公表している調査結果

1 in 3 Laptops fail over 3 years:Netbooks fail 20% more than laptops; ASUS & Toshiba the most reliable

を見てみても、ノートパソコンの生産地、ノートパソコンの使用者に関する情報、ノートパソコンの使用時間と使用環境、ノートパソコンの具体的な故障原因別の故障率、調査対象となったノートパソコン台数が記載されていないため、調査結果が妥当かどうか判断が難しく、故障率について鵜呑みにできません。

例えば、ノートパソコンは企業で長時間使われていて、出先に頻繁に持ち運ばれているなら、故障率が高くなるのは自然です。パソコンに限りませんが、使用すれば使用するほど劣化し、あちこちに持ち運ばれるなら衝撃等による傷みが積み重なっていきます。さらに温度が高い、塵や埃が多い、振動が発生している等、パソコンにとって悪い環境で使われていれば、さらに故障率は上がりますので、故障率が高くてもおかしくありません。

また、しっかり故障原因を特定して故障と判断しているのか気になります。例えば、パソコンは正常に起動しなくなったり、勝手に再起動が頻繁に発生する事があり、ハードウェアの故障が原因の場合もありますが、OS やソフトウェアに問題が発生している事が原因の場合もあります。

本当にハードウェア故障が原因なのか判断するのは難しく面倒なため、そこまでやらずに、OS やソフトウェア関連の問題で故障しているように見えていても、ハードウェア故障が原因と処理してしまっている可能性が考えられます。

さらに、米国という国柄が、故障率の高さに影響している可能性も考えられます。例えば、米国は返品大国であり、家電製品では故障していないのに故障していると主張しても簡単に返品を受け付けてもらえるほど、返品が自由と聞きます。

このような商品に対する適当な扱いがある米国事情を聞くと、調査においてノートパソコンの使用者は本当は故障していないのに故障していると主張し、その主張がすんなり通っているのではないかと想像してしまいます。

調査への疑問は、あくまで私の想像ですが、とにかく言える事は、調査に関する詳しい情報が分からず、調査結果が妥当かどうか判断できないため、各メーカーの故障率は鵜呑みにはできない事です。

鵜呑みにできない故障率

不名誉なナンバーワンを獲得してしまったヒューレット・パッカードですが、個人的には、ヒューレット・パッカードのパソコンの故障率は 25% もあるからと、どうこう言いません。他の故障率が高いメーカーについても同様です。

国内メーカーのソニーや東芝の故障率は約 16% と低めですが、同様にソニーや東芝のパソコンの故障率は 16% もあるからと、どうこう言いません。16% でも故障率は高いと感じるところがあり、調査について詳しく知る事ができないと何とも言えません。

また、故障率の差についても同様です。特に気になるのは、アスースの故障率は 15.6% である点です。アスースは信頼性の高いメーカーであり、故障率が低い方であってもおかしいとは思いません。しかし、エイサーも信頼性の高いメーカーでありますが、故障率 23.3% と結構大きな開きがあるのが気になります。

あくまで推測ですが、調査対象となったアスース製ノートパソコンでは、それほど使用時間が長くなく、パソコンにとって理想的な環境で使われてきたものが多かった等、故障率を下げる要因があった可能性が考えられます。

疑ったら切りがありませんが、調査に関する詳しい情報が分からない以上、調査結果の妥当性は判断できないため、故障率の高さや差について鵜呑みにはできません。

SquareTrade 社の調査結果が公表されたのは2009年であり、その後もヒューレット・パッカードや他の故障率が高いメーカーは、世界で大きなシェアを獲得しており、SquareTrade 社の調査結果は特に大きな影響は及ぼしてないと思われますが、購入を検討している人に与える影響は少なからずあると思いますので、調査結果だけでなく調査対象についても詳しい情報を提供して欲しいところです。

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2023/09/07 更新