ところが、マザーボードによっては、PCI Express コントローラーの対応レーン数よりも、多い製品が見られます。
例えば、PCI Express コントローラーの対応レーン数が16であり、そのような PCI Express コントローラーを内蔵する CPU を搭載可能なマザーボードでは、通常はマザーボードの対応レーン数も、そのまま16となりますが、32等の対応レーン数が増えているマザーボードも見られます。
対応レーン数が増えているマザーボードでは、スイッチチップを使用して対応レーン数を増やしています。スイッチチップは、基本的にレーン数を分割するために使用されます。
例えば、マザーボードに PCI Express x16 の拡張スロットが2つあり、レーン数の上限は16だとします。スイッチチップがなければ、一方の拡張スロットで16レーン動作させる事しかできませんが、スイッチチップを使用すれば両方のスロットで8レーン動作させる事ができるようになります。
スイッチチップは分割だけでなく、レーン数を増やすために使われる場合もあり、上記の例のマザーボードで言うと、例えばレーン数を2倍に増やして、両方のスロットで16レーン動作させる事ができるようになります。
もちろん PCI Express コントローラーの対応レーン数は増えてはいませんので、帯域、すなわち一度に伝送可能なデータ量は変わりません。
スイッチチップによって、レーン数を分割するだけなら帯域不足は起きませんが、レーン数を増やすと帯域不足が起きる場合があります。
例えば、以下のように16レーンが、スイッチチップによって16レーン×2=32レーンに増えたとします。
PCI Express コントローラー |
分岐 | PCI Express x16 拡張スロット |
---|---|---|
16レーン | (1)16レーン | |
(2)16レーン |
(1)の拡張スロットと(2)の拡張スロットを合わせたデータ伝送量が、16レーンの帯域を超えなければ問題ありませんが、16レーンの帯域を超えるとなると、データが詰まってしまいます。
そうなってしまえば、拡張スロットに搭載されている PC パーツは正常に動作しなかったり、本来の性能を発揮できなくなったりします。
拡張スロットに搭載する PC パーツは、常に帯域をフルに使用しないので、帯域不足になる可能性は低いですが、スイッチチップによってレーン数が増えているマザーボードで、拡張スロットに搭載する PC パーツが正常に動作しない、または本来の性能を発揮しない場合は、帯域不足が原因である可能性があります。